山梨大学の機械工学科から桑沢デザイン研究所というデザインの専門学校へ。
3年制の専門学校だけど美大と並べられるくらい業界の評価がとても高いことが選んだ一番の理由でしたが、今でも桑沢を選んで本当に良かったと思っています。
僕は大学卒業後すぐ桑沢に入ったので、この時23歳になる年でしたが、同級生たちは3月まで高校生だった18歳から、がっつり社会人を経験してきた30代前半の人まで幅広かったです。特に色んな経験を経て桑沢にきた人たちは、みんなモチベーションが高くてかなり後押しされました。
好きで得意なことの勉強はとっても楽しかったのですが、僕はすぐあることに気がつきます。
みんな絵めっちゃ上手い。
そりゃそうです。そういう人たちがくる学校です。世の中、上には上がいることを実感しました。
絵だけを描いていたら埋もれてしまうと思ったので、僕はすぐ方向転換をします。
ラッキーなことに桑沢では2年生からそれぞれの専攻を選ぶ制度でした。大学でやった機械工学の知識も使えるかもしれないと思い、元々やろうと思っていたグラフィックデザインではなく、製品の意匠を手がけるプロダクトデザインを専攻することにしました。
そこからはプロダクトデザインにのめり込み、将来自分がどういうものを作りたいのかを意識し始めます。流体力学の突き詰めで成り立つ飛行機や、切ることに特化した日本刀の刃のラインを美しいと感じるように、エンジニアリングを背景に考えることで、デザインがより洗練される可能性を実感し始めていました。なのでデザインとエンジニアリングの両方を同時にできるような環境を探したのですが、中々ありませんでした。
そしてついにDysonにたどり着きます。あの特徴的なデザインが、製品がもつ機能をそのまま形に表していることを知り、そこからは本当にDyson一筋になりました。
当時学生だったけど頑張って中古で掃除機を買い、創業者James Dysonの本を読み、イベントがあれば行ってみました。
そんな中、2012年9月の新製品発表イベントで大きな出会いをします。いつものようにイベントに行った僕は、そこで外部から講演者としてきていた遠藤謙という義足の研究者に出会います。遠藤さんが話すロボット義足の話がとても面白くて、やっぱり技術を突き詰める人はすごいなぁと改めて思いました。
エンジニアリングに触れる最高の機会だと思ったので、何か役に立てることがあれば手伝わせてください。とお願いし、遠藤さんが所属するSonyCSLにアルバイトとして出入りさせて貰うようになります。余談ですが、SonyCSLは脳科学者の茂木健一郎さんも所属する研究所です。一度トイレでお隣になったことがあります笑
ここから学校でデザインを勉強しながら、SonyCSLでエンジニアリングに触れるようになります。